INTERVIEW “HAND” vol.2 スローなものづくりが生み出す心地よさ

INTERVIEW “HAND” vol.2 スローなものづくりが生み出す心地よさ

ハンデルスベーゲンが創業時から大切にする、手づくり製法。
手づくりにこだわる理由は、あえて手間をかけるからこそ伝わる想いがあると知っているから。

インタビューシリーズ “HAND” では、業種や業界問わず、ハンデルスベーゲンが共感する、 “手づくり” でのものづくりを大切にされている方を訪ね、その方が大事にする考え方や、ちょっとした暮らしのティップスになるようなお話をお届けできればと思っています。

第2回目となる今回は、ファッションブランドのフリープレスとして活躍され、着こなしだけでなくライフスタイルにもファンの多い、滝口和代さんにお話を伺いました。

Profile 滝口和代

山形県出身。美容室を営む家庭に育ち、ファッションに興味を持つ。フリーランスのPRとして、自然素材、着心地にこだわったブランド「ネストローブ」などに携わる。ライフスタイルにもファンが多く、音楽への造詣も深い。

本質的に大切なものに立ち返った暮らし

自分で手を動かしてものづくりをすることに興味を持ち、美大の服飾学科を経てアパレルの世界で働いてきたという滝口さん。若い頃は時に、自分でパターンを引いて洋服をつくるようなこともしてきたそうです。

「縁あって入社したのが、リネンをはじめとした上質な天然素材を使用し、着心地や素材感にこだわったファッションブランド。PR・広報というポジションからあらゆる業務に深く携わりました」

インスタグラムでは独自のコーディネートを紹介されており、大胆な色使いや小物合わせなど、その着こなしやセンスにファンも多数。今は独立してPR業やものづくりのプロジェクトを温めたりと、自分が本当に時間を割きたいと思える仕事に情熱を傾けているといいます。

写真=滝口さんインスタグラムより 写真=滝口さんインスタグラムより

写真=滝口さんインスタグラムより

「山形の田舎で、たくさんの自然に囲まれて育ったためか、東京に来て長いこと経ちますが、常にどこかで自然を求めているように思います」

ご自宅には、都内とは思えない、イングリッシュガーデンさながらの美しいお庭が。風が吹くとふわりと漂う、ミントやゼラニウムの香り。ここで過ごす時間は、自身のバランスをとるための大切な時間になっているのだとか。ちょっとした合間に庭仕事をしたり、摘んだミントを入れた足湯に浸かったりされているそうです。

本質的に大切なものに立ち返った暮らし

「身に纏うものだけでなく、暮らしも、食べるものも、できたら自然なものがいい。また、自然なものと自身の生活が循環しているかなど、出産と子育てをターニングポイントに、本質的に大切なことは何か、立ち返るきっかけになりました。そもそも根っからの仕事人間だったのですが、娘が生まれてから、仕事も生活もスローダウンをせざるを得なくなったといいますか。子育てを通して、手づくりや手仕事の良さを再認識するきっかけにもなりましたね」

忙しい日々の中でも、便利なもので溢れる東京での生活の中でも、我が子が触れるものはこだわって選んでいきたい。決して無理はせず、バランスをとりながらも、幼い頃に触れるものごとの積み重ねで直感や感性はやがて芽を出し、養われていくのだということを、常に念頭に置いているといいます。

愛のこもったスローメイドなものづくり

実家は美容室を営んでおり、小さな頃から祖母と母親が手を動かしている姿を常に側で見てきたという彼女は、籐で編んだ籠や作家さんの器、家具などが置かれ、食卓には手づくりの梅干しや糠漬けが並ぶなど、手づくりや手仕事が大好きな祖母から受けた影響も大きかったと振り返ります。

「木のものや、陶のもの。丁寧に織られた布。だんだん色が変わっていったり、削れていったり、欠けたりと、ある意味『正直なもの』に小さな頃から触れてきました。そのせいか、そういうものに私は惹かれるし、娘にも触れてほしいと思っています」

愛のこもったスローメイドなものづくり

「大量生産でつくられたものの便利さや手軽さはよく理解しているし時に自分も使うけれど、なるべくスローに手づくりされた、経年変化で美しさが増すようなものを選んでいくことが、これからの時代とても大事なのかなと思います。
丁寧にゆっくり織られた生地で仕立てた洋服は、着込む程に風合いが増して肌触りもよく、味わい深くなり、必然的に長く着たくなる。それがエコにも繋がると思うんです」

経年変化を楽しみながら自分だけのアイテムに育てる楽しさもまた、ものを丁寧に選び、長く大切に扱うことにもつながっていきます。

愛のこもったスローメイドなものづくり

そんな滝口さんが今挑戦しているのは、パッチワークや刺し子といった手縫いでのものづくり。義母さんがパッチワークの先生をしていることもあり、教えてもらいながら一つひとつチクチクと手を動かしているそうです。今後、「繋いでいきたい手のモノ」をテーマにした、ものづくりのプロジェクトを構想中とのこと。

「ものが溢れている世の中だからこそ、誰かが想いを込めてつくった愛あるものに大きな意味があると思います。つくり手のハートやメッセージを感じられると、心がふわりとあたたかくなります。ちょっと不格好でもいい。そんな愛あるものでいっぱいの世の中になったら、なんて素敵なんだろうと思います」

自身の好きなものづくりと、育まれてきた価値観。そして娘の桃子ちゃんへの想いが掛け合わさった滝口さんならではのものづくりプロジェクト。スローなものづくりならではの良さを、届けていきたいといいます。

ロジックを超えた、感覚的な心地よさ

自然なものや、手でつくられたものに積極的に触れながら、感性を養っていく。そんな感性に従って、理屈でなく自分が心地いいと思える方、気持ちいいと思える方を選んでいく。それは、身につけたり所有したりするものだけでなく、食べるものにも共通すると滝口さん。

「子どもって、母乳を経てだんだん外から食べものを摂取することになるわけなんですが、そうするとどうやってつくられたものかとか、何が入っているのかとかが結構気になってしまって」

ロジックを超えた、感覚的な心地よさ

「有機のものや無添加のもの、手づくりのもの。それらがいいことは分かっていても、子育てをするうえでそういった食品だけを選んで与えるというのは、実際かなり難しいと思うんです。食事の時間やおやつの時間は、笑顔で過ごせるようにしたいなと思っています。神経質になりすぎてしまうと、余裕がなくなりお母さんも笑顔じゃなくなってしまう。何事もバランスが大事だなあと思いますね」

ハンデルスベーゲンのアイスクリームは、無添加製法かつ自然の素材だけを使った、100%ナチュラルな手づくりのアイスクリーム。「ハンデルスベーゲンさんのアイスには、なんだか愛を感じます。手づくりや素材にこだわっていて、安心して子どもにも食べてもらえる、とても心地いい商品だなと思います。子どもってアイスが大好きですよね。気にせず『好きなの食べていいよ』って言えるのはとても嬉しいですね」

「母が仕込んで送ってくれる梅干しや、家でつくる糠漬けなど。スローにつくられた料理や食べ物は、工場でスピーディーにつくられたものとは違うおいしさがあります。手づくりの先には、必ず誰かがいる。誰かを思いながらつくるものには、“美味しい魔法”がかかるような気がします」

「そういう意味だと、丁寧に手づくりされたハンデルスベーゲンさんのアイスも同様で、単なる『おいしい』以上の何かがそこにはあるに違いないと私は思っています」

ロジックを超えた、感覚的な心地よさ

ハンデルスベーゲンが大切にしていることにも通じる、滝口さんのお話。おいしいアイスクリームをお届けするために、無添加であることやこだわりの厳選食材、レシピや数値の計算といった技術的なことはもちろん欠かせません。ですが、私たちが一番大事にしたいのは、食べた瞬間「おいしい!」と理屈抜きに感じてもらいたいという、いわば感覚的なところ。機械に任せたほうが早い部分も、なるべく心を込めて丁寧に手づくりすることで滝口さんのいうような“魔法”がかかり、より一層おいしくなると、私たちも考えます。

ロジックを超えた、感覚的な心地よさ

自然体で無理がなく、語られる言葉は真っ直ぐで、今感じていることや考えていることを正直に聞かせてくださった滝口さん。忙しい現代社会に生きる我々にとって、“スローなもの”を選びとることの良さや大切さを教えてくれました。今の生活やもの選びを、一気に変えようとしなくてもいい。でも少しずつ“スローなもの”を選ぶ機会を増やしていけば、これまでにない心地よさや気持ちよさに、出会えるかもしれません。

Instagram: @takiguchikazuyo