INTERVIEW “HAND” vol.1 LIFE STYLE PLANNER 長屋なぎさ インタビュー
ハンデルスベーゲンが創業時から大切にする、手づくり製法。
手づくりにこだわる理由は、あえて手間をかけるからこそ伝わる想いがあると知っているから。
今回から始まるインタビューシリーズ “HAND” では、業種や業界問わず、ハンデルスベーゲンが共感する、 ”手づくり” でのものづくりを大切にされている方を訪ね、その方が大事にする考え方や、ちょっとした暮らしのティップスになるようなお話をお届けできればと思っています。
第一回目となる今回は、ライフスタイルプランナーの長屋なぎささんにお話を伺いました。
Profile 長屋なぎさ
1986年 岐阜県生まれ。ライフスタイルプランナーとして、企業のディレクションやアドバイザー、ビジュアル監修、ライフスタイルアイテムの商品企画など、幅広く活躍。現在「aluna」のディレクションを手がけ、一児の母でもある。主な著書に「小柄な大人の一生おしゃれでいられる10のルール」(宝島社)他。
自分のバランスは、自分で取る。
―まずはなぎささんの自己紹介からお願いします。
7年前から、ライフスタイルプランナーという肩書でお仕事をさせてもらっています。アパレルのPR出身なので、洋服のお仕事はもちろんなのですが、食事や空間などファッションに限らず女性がわくわくすることを、私のフィルターを通して提案していきたい思い、今の仕事を始めました。シーンや気分に合わせてお洋服を選んだり、お洋服に合わせて行く場所や食べるものを変えたりなど、ライフスタイルにまつわることって全部繋がっているんですよね。そういう考えのもと、企業さんとお取り組みしながら、ライフスタイルの提案やディレクションをしています。
―7年前になぎささんのような働き方をしている人は今ほど多くなかったと思うのですが、ライフスタイルプランナーに転身するきっかけがあったのでしょうか?
当時27歳だったんですが、女性として結婚もしたいし、いつか子どもも産みたいし、ざっくりと思い描く未来があって。そのためには今の働き方だと理想の自分のライフスタイルにはちょっと程遠いなと思ったんです。その時は結婚もしていなかったけど、将来的に好きな時間に好きな仕事ができるベースをつくっておこうと思ったのが、きっかけですね。
―仕事や家事、育児も、そつなくスタイリッシュにこなされてるイメージがあります。意識していることはありますか?
そんなことはなくて、今朝も子供が大泣きして1時間くらい戦っていました(笑)。なるべく日頃から自分に余裕を持つように気をつけていますね。子供がわーっとなった時に、「大丈夫?何がイヤだったかな?」って自分が冷静でいられるように。あとはなるべく普段からあまりストレスをためないようにはしています。寝かしつけた後に大好きな甘いものを食べたり、自分のバランスを取る時間をちゃんと取るようにして。私、仕事が忙し過ぎて家事ができないと、バランスが崩れちゃうんです。そういう自分の気持ちや心が乱れるポイントは自分で分かっていて、家が散らかっていたり洗濯物がたまっていても、この部屋だけはきれいにしておく!など、自分の中でバランスを保つことは気をつかっています。
食卓を作る上で大切にしているのは、ごくごくシンプルなこと
―ファッション以外に、食の領域でも様々な情報を発信されていますが、昔からお料理は得意だったんでしょうか?
実は、料理をちゃんと作るようになったのは、主人と一緒に暮らし始めてからなんです。昔は外食も多かったし、仕事が終わってから友達と遊んでご飯を食べることも多かったから、自分でしっかり料理を作り始めたのは5年前くらいからですね。子供が産まれてからは、食の質についてもより気にするようにしていますが、私は栄養学のプロではないので、毎回確実に栄養バランスが取れているか?となると、そうじゃない時もあります。でも、お料理が食卓に出てきた時にほっとしたりテンションが上がったり、そういう気持ちが高まるような工夫は心がけています。食卓が色鮮やかだったり、パッと見ておいしそうだなと思えたり、すごくシンプルなことなんですけど、大事にするようにしていますね。
―「nagimeshi(なぎささんが作るおうちご飯)」は、ご自身のinstagramでも人気のコンテンツですよね。食卓で特になぎささんがこだわっているポイントはありますか?
ひとつは、器の使い方ですね。最近スタートしたYouTubeチャンネルでもご紹介しているんですが、私自身、器やお洋服は1つのものを長くずっと使うタイプなので、少しずつ愛着が湧くものや長く大切に使えるものを集めるようにしています。器はセレクトショップや旅先で買うことが多く、自分が好きなテンションのセレクトショップを巡って、そこで素敵なものを見つけて少しずつ集めていっています。盛り付け次第でお料理が美味しそうに見えたりおしゃれに見えるお皿を選んで、食卓をコーディネートするのがとても楽しいんです。
ものを通してストーリーが出来上がっていく楽しさと、それを共有する楽しさ
―ライフスタイルにまつわるものづくりの中で、なぎささんが特に意識していることはありますか?
先日TAMENTORIという積み木のおもちゃを作ったときもそうですが、作る上で大事にしたのは、長く使えることと、時を超えた “ストーリー” が作れることでした。子どものおもちゃって、使い終わったら誰かにあげるか、しまわれてしまうじゃないですか?オブジェとしても飾れるようなデザインにすることで、大人になっても使えるし、例えば実家に帰った時にそのおもちゃが自然に飾られていると、「あなたが赤ちゃんの時にこうやって使ってたんだよ」って伝えられる。そうやってものを通してストーリーが出来上がっていくのってすごく素敵だなと思うんです。それとこのおもちゃ、ちょっと角度を変えれば、難しい積み上げ方ができてまた違った遊びもできるんですよ。0歳の時はただ積み木を手で触るだけ、1歳の時は積み上げるだけ、3~4歳の時は難しい角度で積み上げられるみたいに、年齢に応じた遊び方もできるように作りました。
―作る過程だけでなく、使われていく過程でもストーリーが積み重なっていくのって、素敵です。
子供とのコミュニケーションの中でも、点で伝えるよりもストーリーを伝えていくことを大切にしています。ものが出来上がるまでを一緒にやってみるとか、出来上がった時に誰かにプレゼントしてみるとか。よく息子とクッキーを作るのですが、「これはこうやって焼くんだよ!焼いたものはパパにあげてみる?」など、自分が何かをしたことによって誰かの感情が動くということを、楽しみながら伝えられるようにしています。それとこのハンデルスベーゲンのアイスクリームを食べる時も、「どうぞ選んでください」と伝えて、いくつかの種類から自分で選ぶ過程も楽しんでもらいながら食べさせる。そしてアイスがおいしかった、だけじゃなくて、あの時ママとパパと一緒に食べたアイスおいしかったよね、という、その場の空気感までもアイスにまつわるストーリーとして覚えていてほしいなと思っています。
“手” が生み出す、”想い” の魔法
―何かものを作る時、手間をかけると時間もかかるし、時に効率も悪かったりします。それでも手づくりにこだわる理由はありますか?
普段のお料理やスイーツ、麹などの調味料も、自分の負担にならない範囲でなるべく手づくりしようと心がけているのですが、特に子供が口にするものは、中に入ってるものが何か分かっていると安心しますよね。あと、自分で作ると材料を変えられるのが良いんです。例えばクッキーだったら、小麦粉じゃなくて米粉にしてみたり、白いお砂糖じゃなくてアガベシロップや甘酒を使ったり。もちろん出来合いのお菓子を食べることもありますが、子供は自分で口に入れるものを選べないので、私が選ぶものが子供の体を作っているという意味では、なるべく手づくりしてあげたいなと思いますね。
―そういった、あえて手間をかけることで生まれる「魔法」のようなものがあるとしたら、どんなことだと思いますか?
想い、なんじゃないですかね。目の前の食べ物が、誰かが手づくりしたものだってことを知ると、シンプルに嬉しくなるというか。子供が物心ついてから、「あのアイスクリームおいしかったよね」という話をした時に「あれってひとつひとつ手づくりで作っているんだよ」ということを伝えられたら、子供が「自分のこと大事にしてくれてたんだな」と感じてくれて、しっかり愛情が伝わるような気がするんです。私が小さい頃、母が手づくりのお菓子を作ってくれたり、食卓に品数たくさんのお料理を用意してくれていた思い出もあって、私も息子にとってのそういう思い出を残せていけたらいいなと思いますね。
instagram: @nagisanagaya
Youtube: NAGISA NAGAYA Official Youtube
アイスクリームのカップを丸ごと1個ペロリと食べる息子さんと、それを嬉しそうに見つめるなぎささん。 自分自身のことをよく理解しているからこそ、無理なく自然体でご自身の幸せや息子さんとの関係に向き合えているという印象を受けました。“手づくり” が紡ぐ二人の絆は、目の前のアイスクリームを一緒に味わうその瞬間だけでなく、時が経つほどにより深く揺るぎないものになっていくのかもしれません。